今年は本気に行政書士!

行政立法

Section3 行政立法

<ポイント>
・国会の定める「法律」では大網的なことを決め、専門・技術的な規定は行政に委任することができる。この委任を受けて行政機関が策定する規範を法規命令という。
・法規命令とは、法律の委任を受けて、行政機関が定める規範で、国民の自由を制限したり、義務を課す内容のもの。
・法規命令は、国民の権利や義務の内容そのものを規定する委任命令と国民の権利の内容そのものを規律するのではなく、単に執行方法などの細則を決める執行命令がある。
・委任命令は個別具体的な法律による委任が必要であり、その法律の委任の範囲を意超えることはできない。
・執行命令は法律を執行するための細則規定であるから、国家行政組織法によって一般的授権があるので、それ以上に個別の法律によって具体的な委任までは必要としない。
・行政規則は、行政機関内部で上級行政機関が下級行政機関を規律する為の規範である。直接的に国民の権利を制限したり、義務を課したりするものではないので、法律の根拠は必要ない。

 

2-3-1 行政立法の全体像を探る

 行政活動のうちでも、国民の権利を制限したり、国民に義務を課すような行政活動を行政(役所)が勝手な判断で強制することは出来ません。主権者である国民の権利を制限できるのは主権者である国民自身以外にはありえません。つまり、行政による強制的な活動は、国民の代表者である国会で決めた法律に基づいたものであることが必要なのです。ただ、法律で事細かに何でも決めると実情に合わせた機動的な活動が出来ない場合もあり、国会、すなわち「法律」では大枠を決め、細かい部分は役所に任せておいたほうがいい場合もあります。このように国会(法律)の委任を受けて定めた細かい基準などを行政立法といいます。
 それともう1う。行政(役所)の仕事を進めていくためには、国民の権利・義務とは直接関係しないことでも、いろいろと決め事が必要です。そういう決め事も行政立法といいます。

 

■行政立法の体系

 

準備中・・・

 

 行政立法は、まず、m国民の権利義務を規律する性質を有するか否かの違いにより、法規命令と行政規則に分けられます。そして、法規命令は、内容の観点から、委任命令と執行命令に分類されるのです。

 

2-3-2 法規命令

(1)意義

 法規命令とは、国民の権利義務を規律する法規たる性質を有する行政法規をいいます。
 「法規」と「命令」に分けて、それぞれの用語を確認しておきましょう。
 「法規」とは、国民の権利・自由を制限したり、国民に義務を課す法規範の事を指します。法規範とは、決まりとかルールのことだと思えばよいでしょう。
 「命令」は、「ゴミを片付けろ」とか「スピードを落とせ」というような日常用で使う「命令」という意味ではありません。それとは、全く関係がなく、ここでの「命令」は行政機関が定立する法を意味します。
 従って、法規命令は、@行政(役所)が定めたA国民の権利・自由を制限したり、国民に義務を課す法規範のことです。
 国民の権利・自由を制限すると言うことになれば、それは原則的には、国会の制定する「法律」の専権事項です。ゆえに、まずは法律の規定があって、それを受ける形で行政(役所)は法規命令を制定します。法律の根拠なくして制定することは出来ないのです。

(2)委任命令

 法規命令は内容の観点から、委任命令と執行命令に分類されます。このうち委任命令とは、個別・具体的な法律からの委任を受けて国民の権利・義務の内容を規定する命令のことです。委任命令については以下の点を押さえておきましょう。

@委任立法の限界(国会の側の限界)

 国会が唯一の立法機関(憲法41条)であることから、法律による委任は包括的な委任であってはならず、個別・具体的委任でなければなりません。白紙委任は許されないのです。

A委任命令の内容(行政の側の限界)

 国会(法律)の委任を受けて定立するのですから、委任の範囲を超えてはならないことは当然です。

 

判例チェック
□銃砲刀剣類登録規則4条2項が、銃砲刀剣類所持等取締法14条1項の登録の対象となる刀剣類の鑑定基準として、美術品として文化財的価値を有する日本刀に限る旨を定めていることは、同条5項の委任の趣旨を逸脱するものではない(サーベル事件/最判平2・2・1。
□監獄法施行規則が、未決拘留により拘禁された者と14歳未満の者との接見を許さないとすることは、監獄法50条の委任の範囲を超え、無効である(監獄法事件/最判平3・7・9)。

 

(3)執行命令

 一方、執行命令とは、さまざまな法律を執行していくために必要となる実施細目を定める命令です。
 委任命令は義務の内容を定めるものですが、その内容を実現する手続を定めているのが執行命令です。手続・形式を定めるもので、国民の権利・義務の内容自体には直接関わらないので、個別・具体的な法律の根拠までは要しないとされています。
 ただ、法規である以上、法律の委任は必要です。憲法73条6号、国家行政組織法12条1項等の一般的授権で足ります。

 

2-3-3 行政規則

 行政規則とは、国民の権利義務を規律する法規たる性質を有しない行政法規を言い、内規、要網、通達などの形式で定めることが出来ます。
 法規命令が、国民の権利・自由を制限するものであったのに対し、こちらはそのような外部的効果を有しません。従って、制定にあたり法律の授権は不要です。
 上級行政機関が下級行政機関に対して、「通達」という形式で法令の解釈を統一するために解釈基準を示すことが多いです。下級行政機関は、上級行政機関の示した通達に原則として拘束されることになります。しかし、通達は、国民や裁判所を拘束する外部的効果はありません。外部的効果を有しない以上、行政規則自体を取消訴訟の対象として争うことはできません。裁判所も、通達の解釈に拘束されることなく、何が正しい解釈であるかを法令に照らして判断することになります。

 

判例チェック
□通達は行政内部の基準であり、直接国民を拘束するものではないから、処分性を有しない(最判昭43・12・24)。

 

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行政書士を目指して5年の月日が。毎年、教材を買った時点で勉強した気になっていた自分がいました。しかし、自分の夢、目標の通過点である行政書士の資格を早く取得合格したくて、2013年の試験に本気で目指していく為の日記と勉強の成果を披露するホームペーです。
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