今年は本気に行政書士!

法律による行政の原理

Section2 法律による行政の原理

<ポイント>
・行政活動は国民の代表者である国会の定めた法律を根拠にしなければならない。これを法律による行政の原理という。
・現に存在している法律の定めに違反した行政活動は出来ないことを法律優位の原則という。
・行政活動を行うには必ずその根拠となる法律が必要である。これを法律留保の原則という。
・あらゆる活動に法律の根拠が必要とする事は無理があり、国民の自由・権利を侵害したり、国民に義務を課したりする場合には法律の根拠が必要であるとする見解を侵害留保説という。
・行政活動も法の一般原則、すなわち平等原則、比例原則、信義則などに従う。
・比例原則とは、行政活動による規制が除去しようとする障害や危険の程度に応じた必要最低限のものでなければならないという原則である。

 

2-2-1 法律による行政の原理とは何か

 法律による行政の原理とは、「行政活動は国民の代表たる国会で決められる法律に従って行わなければならない」ということです。具体的には、@法律優位の原則、A法律留保の原則・・・この2つを押さえておきましょう。

(1)法律優位の原則

 法律優位の原則とは、行政活動は現に存在している法律の定めに違反して行われてはならないという原則です。

(2)法律留保の原則

 法律留保の原則とは、ある行政活動を行うには必ず法律の根拠が必要であるという原則です。
 法律優位の原則とどこが違うのか分かりにくいのですが、法律優位の原則だけだと、現にある法律に反しない限り何をやっても良い、ということになってしまいます。そこで、法律に反しないだけではなく、法理によって積極的に定められていることが必要となってくるのです。
 もっとも、すべての行政活動に法律の根拠を必要としまうと、迅速性が失われてしまう恐れもあります。そこで、国民お自由と財産を侵害するような行政活動についてのみ法律の根拠が必要であると解されているのです。これを侵害留保説といいます。

 

2-2-2 法の一般原理

 このほか、行政活動も当然、法の一般原理には従います。
 法の一般原則には@平等原則、A比例原則、B信義則などがあります。

(1)平等原則

 行政というものは、ある一定の条件下では、誰に対しても同じように振舞わなければなりません。

(2)比例原則

 行政活動で国民に対して規制をするときは、その規制によって除去しようとする障害の程度に比例した必要最低限どのものでなければなりません。目的を達成できる以上の過剰な規制はしてはなりません。

(3)信義則・禁反言

 役所は、相手方の信頼を裏切るようなことをしてはなりません。朝令暮改のようなことをして良いとなると、国民の予測可能性を害し、社会の発展を阻害することになるからです。

(4)行政法と民事法

 過去においては、実定法を公法体系と私法体系に分け、権利についても公権と私権にわけて適用する法体系を決めるような公法私法二元論を基礎とした解釈論もありましたが、そのような考え方はもうされておらず、行政法関係においても民事法が適用される場合は少なくありません。
 例えば、国が何か物品を購入する場合、国有財産を売却することは私法上の売買契約に当たります。水道供給についても地方公共団体との契約によっています。
 ただし、民事上の契約であったとしても、例えば水道契約のように私人間の契約とは違って「契約自由の原則」とはいかず、役所側は契約が強制されるように、国や地方公共団体が当事者となる場合には、私人間とは異なった配慮が必要となる場合もあります。

 

判例チェック
□自作農創設措置法に基づく農地買収処分について民法177条は適用されない(最判昭28・2・18)。
□国税滞納処分による差押さえについては民法177条の適用がある(最判昭31・4・24)。
□公営住宅の使用関係ついては、公営住宅法およびこれに基づく条例が特別法として民法及び借家法に優先して適用されるが、法及び条例に特別の定めがない限り、原則として一般法である民法及び借家法の適用があり、その契約関係を規律するについては信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである(最判昭59・12・13)。
□国の普通財産の売払いは、国有財産法及び会計法の各規定に準拠して行われるとしても、その法律関係は本質上私法関係というべきであり、その結果生じた代金債権もまた私法上の金銭債権であって公法上の金銭債権ではないから、会計法30条の規定により5年の消滅時効期間に服すべきものではない(ということは民法の規定により10年の消滅時効期間となる)(最判昭41・11・1)。

 

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行政書士を目指して5年の月日が。毎年、教材を買った時点で勉強した気になっていた自分がいました。しかし、自分の夢、目標の通過点である行政書士の資格を早く取得合格したくて、2013年の試験に本気で目指していく為の日記と勉強の成果を披露するホームペーです。
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